※新組織改編前に作成した記事です
山畑美穂さん
- 平成22年度修了(修士課程)
- 銀行系システム部門
入学動機を教えてください。
定期的に高校の同窓会に参加しているのですが、同級生の海外留学やMBAの話題が良く出ていました。興味は持ちつつも私には関係ない話 だ、とずっと思っていたのですが、30歳後半になって仕事に慣れ、余裕が持てるようになって今後の仕事や人生をについて考えるようになったんです。それで MBAを取得したくなりました。GSSMを選んだのは、仕事を辞めなくても通学できるというのが一番の理由でした。
受験勉強は行ないましたか。
受験を決意してからオープンキャンパスに参加したのですが、説明してくださった先生が“入試のための勉強は、特に必要ありません”とおっしゃっていて、そ れを信じて何もしませんでした(笑)。研究計画書は、7月8月に国立国会図書館で資料を調べて、それで書き上げました。そんな調子だったので、家族や会社 の同僚は、勉強しないで大学院に合格するはずないと思っていたようです。だから合格したときは、みんな驚いていました。そして何よりも、私自身が一番驚き ました。じつは面接試験がまったくできなかったんです。研究計画書について質問されたのですが、計画の甘さを指摘され、質問にもきちんと答えることができ ませんでしたので、絶対、不合格だと思っていました。
授業は大変でしたか。
平日の授業は18時20分からスタートするのですが、私は会社が終わってぎりぎり間に合う状況だったので、何も口にせず空腹のまま授業を受けていました。 特に1年次の最初は、理数系の授業や経営戦略や会計、統計など本当に幅広い領域を勉強します。また、事前準備として文献の通読やプレゼンテーションが必要 な授業もあります。さらに終了後にレポートが必要な教科もありましたので、正直かなり大変でした。そんな時、助けになったのは同級生の存在でした。深夜1 時過ぎにeメールで課題について意見交換したり、数学や統計の課題を教えあったり…。睡眠時間は少なくなりましたが、共にがんばっている仲間の存在は大き な支えとなりました。
印象的な授業はありましたか。
経営戦略論では、毎回事前に指示された大量の論文や文献資料を読んで、ポイントを整理し、自分なりに問題点を指摘することが求められました。授業もディス カッションを中心に行なわれるので、事前準備が甘いとまったく議論に参加できません。さらに議論が白熱した結果、毎回予定時間をオーバーして22時を過ぎ ることも多く、とてもハードでした。帰宅時には、日が変わっていた時もありましたね(笑)。しかも、長時間におよぶ授業の間、ずっと考えることが求められ るので、まったく気が抜けませんでした。もちろん厳しいだけでなく、提出した課題リポートには先生からの丁寧なコメントが添えられており、それだけ熱心に 指導していただき、本当に感謝しています。
仕事や家庭との両立はうまくできましたか。
職場や家庭の協力がなければ、とても無理だと思いました。会社に迷惑にならないよう毎日早めに出社し、その日の仕事の段取りを考え、18:20の授業に間 に合うために集中して仕事に取り組みました。あと忙しい時期は昼休みも仕事に充てていました。一方、家庭は本当にほったらかしにして、夫が積極的に家事を 手伝ってくれました。じつは夫はまったく料理をしたことがなかったのですが、いまでは包丁使いも上手くなって、週末は率先してキッチンに立つまでになりま した(笑)。
修士論文について教えてください。
私の場合、受験時に提出する研究計画書でのテーマは、システムのアウトソーシングについてでした。日々の業務を通じて、アウトソーシングの結果、技術の内 容がブラックボックスとなってしまうため、技術の空洞化が起きているのでは?と感じていました。研究計画書ではそれをテーマとして設定していました。しか しながら面接試験で自分の研究計画の甘さを指摘されたため、入学後から新しい研究テーマを模索していました。指導教員の先生やゼミ生と何度も議論を重ね、 ようやくテーマが決まったのは1年次の12月でした。テーマは、システムトラブルの再発防止に関するものです。現場でシステム運用を行なっていると、過去 に発生したトラブルの再発防止の対策を施したにもかかわらず、暫くすると同じようなトラブルが発生する事象を見かけることがあります。そこで再発防止のた めの新しい方法について研究しました。
研究で苦労したことありましたか。
私はトラブルの再発防止のために“ルックバック法”と名付けた新しい方法を研究したのですが、論文にするためには方法論だけでは不十分で、その検証が必要 でした。私の場合は、会社の協力を得ることができ、実際の小さなプロジェクトで、“ルックバック法”を検証させてもらいました。システムカットオーバーか ら3ヶ月のモニタリングとレビューを実施し、そのデータをもとになんとか論文に仕上げることができました。そのプロジェクトで一定の成果が確認できたた め、さらに別のプロジェクトでもこの“ルックバック法”を実施してもらいました。指導教員の先生とは、標準化してすべてのプロジェクトに普及していけば、 さらに成果が期待できるのではないかと話しています。
GSSMで身についたことはありますか。
研究方法や修士論文の作法、プレゼンテーション、論理的思考などいろんなスキルを学びました。また授業やゼミで、優秀でモチベーションの高い方々と共に学 び、ディスカッションする機会を得たことは大きな財産になったと思います。やっと修了できて、いまはちょっとゆっくりしています。これまで疎かにしていた 家庭や仕事にしっかり取り組みたいと思っています。また今後は“ルックバック法”をさらに活用することで会社に貢献したいとも思っています。