学位プログラムリーダーメッセージ

今日の企業社会は、急速な技術革新やグローバル化により、ますます複雑化しています。競争激化により、企業は市場での存在感を確立し、顧客のニーズに応えるために常に新しい戦略を模索しています。また、持続可能性への関心が高まり、企業は環境負荷を最小限に抑える取り組みを強化しています。人材確保と育成も課題であり、多様なスキルとリーダーシップが求められています。さらに、デジタル化の進展により、テクノロジーの活用が企業経営の中心に位置し、データ分析やAIを活用した意思決定が重要視されています。これらの変化に適応し、持続的な成長を達成するために、企業は柔軟性と革新性を強化し、社会的責任を果たすことが求められています。

このようなビジネスパーソンの渇望に答えるために作られたのが経営学学位プログラムです。経営学学位プログラムは、社会人のリカレント教育を目的として、経営システム科学専攻(修士)と企業科学専攻システムズ・マネジメントコース(博士)を改組し、2020年4月に発足しました。前身である経営システム科学専攻は、国立大学初の社会人向け夜間大学院として1989年に創設され、700名以上の修了生を送り出してきました。またシステムズ・マネジメントコースは1996年に設置され、150名を超える博士人材を輩出しています。30年に及ぶ伝統の中で培ってきた社会人が学びやすい環境や特色ある教育・研究体制は、経営学学位プログラムにも引き継がれています。

経営学学位プログラムでは、経営戦略・組織、マーケティング、会計・ファイナンスなど経営学のコア領域と、それを支える分析基盤として統計学やCS(コンピュータサイエンス)関連領域の教育に力を入れています。DXの例をみるように、ビジネスでは情報技術や統計・データサイエンスの重要性が増大しています。ファクト(事実)とフィギュア(数字)に基づき、深いレベルでマネジメントを遂行することや、それに資するシステムやアナリティクスを提供できるような基礎体力を育成することを目標としています。

経営学学位プログラムでは、博士前期課程・博士後期課程ともに、コースワークだけでなく、論文研究にも力を入れています。1名の学生に3人の教員(1人の主指導教員と2人の副指導教員)が研究指導にあたります。論文研究を通じて、自分の考えを筋道だって表現し、エビデンスを作成する技法などを学びます。理論的・学術的に裏付けされた手法で、実務的に役立つ知見を自らの手で獲得する力の育成を行います。ここで習得した専門知識を生かしてエクスパートやアカデミック職の道に転身される方や、さらに上位のマネジメントを目指す方もいます。

長い期間、ビジネスパーソンとして活躍するためには、常に新しい分野の知識や技能を身につけることが不可欠です。それらの中には、自分ひとりだけで身につけることが難しいものも多いと思います。専門分野を教える教員や一緒に学ぶ仲間たちと、対話ができる環境に身を置くことも必要かと思います。経営学学位プログラムは、30年あまりの経験を活かして、より質の高いリカレント教育の場を今後も提供していきたいと考えています。

経営学学位プログラムリーダー
佐藤忠彦

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