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國吉 啓介さん

  • 経営学学位プログラム

Q.ふだんのお仕事内容について教えてください。
A. データソリューション部という部門で、データ利活用推進を担当しています。問いをたてながら、事業成長や商品・サービス改善につながる分析提案やデータ利活用環境づくりを担当しています。
Q.大学の時の専攻はGSSMに通じるものがあったのですか?
A. いいえ、大学の時は文系で文学を学んでおり、高校の国語の教職免許を取得したりしていたので、専攻としては異なりました。一方で、情報をどのように伝えたり、どのように読み取るかということに興味があり、国語という教科を通して、そういった力をどのように育むか、考えていたので、その点では通じるものがあったと思います。
Q.大学では文系だったとの事ですが、GSSMでは特に1年生の時は数学の授業が大変だとお聞きしています。修士課程に入られた時はその点においてご苦労はありましたか?
A. 大学が文系というのもあったので、数学をきちんと学びたいと思っていました。文理両方を学べ、特に数学もしっかり学べるということでGSSMを選びました。入学してすぐの頃に数学を集中的に勉強する時期があって、そこで基本的な数学の考え方を学び直すことができ、そこで学んだことをもとに、少しずつ知見を増やしていった形です。

Q.修士課程に入られた時期ときっかけを教えてください。
A. 社会人になって8年目ぐらいのときに入学を考え、2011年に修士課程に入学しました。教育、出版、通信販売などの事業を行う会社に入社し、最初は教材を企画・制作する仕事をしていたのですが、デジタル技術が進展するなかで、この技術をうまく教育に取り込むことで、新しい価値を生み出せるかもしれないと思い、デジタル技術をしっかり身につけたいと思い、デジタル開発や技術開発の仕事へ、手をあげて異動し、修行をしていました。数年経験するなかで、デジタル技術の基本がわかってくるなかで、データがもっている可能性を感じ、もっと深く理解をしたいと思うようになりました。でも自分は文系、という葛藤があって、もう一回基礎からきちんと学びたいと思ったんです。それがきっかけですね。
でも文系の良さもあると思っているんです。データって数字で、もちろん数学的に読み解き、計算する必要もあるんですけど、一方で取り組むべき問いをたてるときや、それを解釈するときには、意味のある情報に変換しなきゃいけないところがでてきます。そこは文系の力、言葉の力がすごく大事になってくると思っています。言葉とデータを繋ぐ必要があると思うんです。もともと情報をどのように伝えたり、どのように読み取るかということに興味をもっていたので、GSSMに入学し、学びを進めていくなかで、仕事を通して体験していたことと、もともともっていた興味が、どんどんつながっていく感じがしていました。
Q.他にも社会人大学院はありますが、こちらを選ばれたポイントは何でしたか?
A. かなり研究を自由にさせてもらえる点、そしてマンツーマンで指導を丁寧にしていただける点が大きかったです。修了された方の論文テーマ一覧などを見て、テーマの幅が広いと感じたことも興味を持ったきっかけになりました。授業もしっかりあり、研究も出来る、尚且つ博士課程まで研究を重ねて修了できるというのはすごく魅力的でした。
Q.GSSMでどんな研究をされましたか?
A.倉橋節也先生の研究室で、社会シミュレーションの研究を行っていました。エージェントベースシミュレーションという手法を利用しながら、学習効率のよい学習方法や学習環境はどういったものか、研究を進めました。修士課程と博士課程、指導教員はいずれも倉橋先生で、ずっと見て頂きました。
Q.入学時に倉橋先生を希望されたのですか?
A. いいえ、修士の入学時はテーマがまだ明確に決まっていなかったので、分析ができるようなところ、テーマが幅広くできるところ、テーマを入れ替えながらできそうなところを探していました。

Q.修士入学時の研究計画と実際の研究は変わりましたか?
A. はい、変わりました。ただ、入った時からテーマを迷い続けている、と先生方にも伝えていました。ビジネス課題に直結するテーマにするか、社会課題に対するテーマにするか、で長く迷っていました。
Q.ここの良さはどういうところだと思いますか?
A. 研究テーマも柔軟に変えていけるところだと思います。僕の研究も指導教員の倉橋先生とお話していく中でかなり変わっていきました。特に修士の時は迷っているテーマに幅があったりもしたので、なかなかテーマが定まりませんでした。先生にアドバイスいただきながら、時間もたくさん頂いて、練っていけたというのはすごく印象に残っていますし、それがここの良さであると思います。それを期待してここを選んだので、自分の選択は間違っていなかったと思いました。先生との距離もすごく近いです。
Q.修士課程から間を空けて博士課程に進まれているのですよね?
A. はい、修士を出てそのまま博士に進むという選択肢もあって迷ったりもしました。ただ、子供が生まれたり、家族の病気など、いくつかのことが重なったタイミングだったので、博士課程には進まず、一旦家庭にしっかり戻ることにしました。
いつかは博士課程に、という思いはありましたので、修士で学んだことをもとに、論文を読んだり、学会に行ったり、マイペースで知見は深めていきました。また、仕事のなかでも、デジタル開発をやりつつ、データ利活用にかかわることも増えていきました。修士で、ビジネスについての視点、データ分析の力が以前と比較して、高まっていたので、学んだことが、仕事にも結びついていった期間だったと思います。
そして、ある程度いろんなことが落ち着いたタイミングでこちらに戻ってこようと思い、再度入学した形です。

Q.研究をどう実際のビジネスに役立てたいとお考えですか?
A. 社会環境の変化が激しく、いくつもの事象が複雑に絡み合った構造的な課題が多い現代において、課題解決の糸口をつかみ、前に進んでいくために、問いを立てる力が大切と思っています。よい問いを立てるためには、先人の知見を学びながら、刻刻と変化していく社会を見立て、様々な角度から問いの在り方を吟味し、深めていくことが大切で、そのための鍛錬が大切と思っています。研究のなかで、この鍛錬を積むことができ、それが実際のビジネス現場で、非常に役立っていると思っています。
Q.社会人学生として、研究する上での困難はどんなことですか?
A. 時間のやりくりが一番の課題でした。ただ、GSSMは、夜および土日に集中して学ぶことができるため、仕事と両立しながら学びつづけることができました。隙間時間を積み重ねて進める、例えば電車で移動している時には、読みたい論文を調べて溜めておく、とか。論文執筆など集中したまとまった時間が必要になることもあるので、それらの山谷を予測しながら、とにかく少しでも時間を確保して、やり続けました。
Q.会社や家族、周りの理解はいかがでしたか?
A. 会社には事情を説明して、ちょっと職場から学校までが遠かったんですけど、授業のある日は早めに出社したり、授業が無い日に長めに働くなど、軽重をつけて、通いました。不確実性が高く、変化が激しい時代は、学びつづけることが大切だと思っています。社会人が学ぶということを、応援する会社が増えていくとよいなと思っています。
Q.どういった方にここでの学びをお勧めしたいですか?
A. 幅広い方にここで学ぶことはお勧めできると思います。裾野が広くて、入学者も理系の人もいればシステムが得意な人もいるし、一方で僕のようにどちらかというと文系の人間もいました。官公庁の方、金融業の方、医療系の方、マーケティングをやられている方もいます。領域は広く、それくらい今、データは当たり前に皆が価値につなげられる時代なんだと思います。社会人になっても外で学ぶ機会は大切だと思います。ここでの学びもその一つだと思います。
Q.同期の方とは修了後も繋がっているんですか?
A. 修士では、入学してしばらくの間、同期が集まる必修授業がたくさんあるので、その中で知り合いが増えていきます。そういったこともあり、今も年に一回程度飲み会を企画してくださる同期の方がおり、繋がりはずっとあります。また、ゼミの繋がりも強いです。ゼミにはOBOGもよくいらっしゃって、研究のフィードバックもいただけたりしました。修了後もゼミに遊びにいけたりすることも、GSSMで学んだ財産のひとつになったと思います。
本日は長時間ありがとうございました。

 

(2022年3月取材)
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