※新組織改編前に作成した記事です

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北條 裕紀恵さん

  • 看護師    
  • 経営システム科学専攻

Q ふだん、どんなお仕事をされていますか?
A  クリニックの看護師です。現在は女性専用外来で働いていて、4月からは病棟へ異動予定です。役職はついていませんが、師長代理、リスクマネジャーや、メンターとして後輩の指導も担当しています。
Q 看護師として毎日忙しく働きながら、
なぜGSSMに入ろうと思ったのですか?
A  医療系の大学でMBAを取った上司が職場に2人いらしたんです。その話を伺ったらおもしろそうだな、と。MBAと聞くと、経済やマーケティング、といったイメージだったんですけど、大学を調べているうちに組織論やリーダーシップ論、キャリア論など色々あると知りました。それであれば私がやっても変ではないかな、と心が動きました。
周りを見ると18才位から医療関係に進んでいる方ばかりです。そうすると、何かを話し合ってもどうしても同じ意見に偏りがちになってしまいます。保守的なことも多くなってしまうと思うんです。だったら看護と全く違うことを身につけることが自分の強みになるし、それと私は純粋に、医療とは全く関係ないことを学びたいという気持ちが強かったんです。
 今、勤めているクリニックで、医師と同僚とで3回ほど学会発表を行う機会がありました。そういったことも社会人大学院で学ぶことに繋がったのではないかと思います。
 外来で働いている状況ですと定時で上がることが出来ます。だとしたら、今の環境を最大限に生かそうと。この後(修士課程終了後)、病棟の担当になるので、このタイミングで大学院に通えたことは本当にラッキーだったと思います。
Q GSSMでは、どんな研究をしていましたか?
A  私は、組織論の稲水ゼミに所属していました。「看護師の職務満足と組織コミットメントの要因」に関する研究をしていました。
 看護師の職務満足やモチベーションに関しては既存の研究が数多くあるのですが、その関連要因で抽出されているのは、上司や同僚、労働環境といった職場単位の身近なものに集中していました。
今回の私の研究では、「理念」に着目して、病院の理念が職務満足や組織コミットメントへどのように影響するかを研究しました。この研究内容は入試時に提出した研究計画書からは変わっています。最初は「人事評価」についての研究をする予定でしたので。ただ、そこは既に研究されていることを知り、ゼミのディスカッションで先輩方と話し合う中でこの方向性が見つかりました。
Q GSSMを選んだのはなぜですか?
A  地理的に職場と自宅の中間に学校があったのと、主指導の先生1人と副指導の先生が2人で手厚い指導、というのがHPにあったので。クラスが30名の少人数というところにも惹かれました。少人数で手厚い指導、これが一番の魅力でした。
 私は看護専門学校の卒業で、大卒でないので学習期間が一年足りない。そうすると選択肢が狭まってしまうんです。その中で法政大学とここ(GSSM)は、学力審査に通れば大学院の入学試験を受けられました。GSSMの枠が狭いので合格することは無理だと思ったんですけど、私はやっぱりGSSMに入りたいという気持ちが強かったので挑戦するだけしてみようと思いGSSMを受験しました。

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Q GSSMに入ってみていかがでしたか?
A  入学式で、まずオリエンテーションで集まるんですけど、同期は女性が30名中3名でした。あとは男性。しかも男性は皆スーツを着ていたので威圧感があって、私がここにいるのは絶対場違い!とすごく後悔しました。
 授業が始まっても、ビジネス数理、微分積分は出てくるし、会計の授業もある。私には絶対無理だと思いました。でも、同期の出来る人達が助けてくれたのが本当に大きかったです。それがなかったら卒業出来なかったと思います。同期には本当に助けられて、皆には感謝しかないです。
Q 研究を、どう実際のビジネスに
役立てたいとお考えですか?
A  研究結果で、30歳以下の若年層の看護師と30歳以上の中年層の看護師では、病院理念から職務満足や組織コミットメントへの影響の仕方に違いがあることが分かりました。30歳以下の若年層では、職務満足にプラスに影響するものは、「労働環境」や「上司の存在」で、理念の影響は殆ど確認されませんでした。でも、30歳以上の中年層では、「病院理念の浸透」が職務満足に影響していることが確認できました。
これらの結果から、理念を浸透させたいと考えている組織では、理念が浸透するように積極的に理念の教育や行動・目標管理を行うよりも、理念に共感できるような実務上の経験を積めるように、職場環境を調整することが重要になるのではないか、と考えられます。
実務で新人や若年層と接する時には、知識や技術の向上のキャリアアップができるような環境をつくり、人間関係や職場環境が良好であるか、ということに注意を払うようにしたいと考えています。
また、若年層が患者との関わりの中で、何を学び、感じているのかを中年層とディスカッションすることで、新たな気づきを見出せると考えますので、そんな機会や場を沢山作っていきたいと考えています。

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Q GSSMで異業種の方と
関わることはいかがでしたか?
A  良いことしかなかったです。この歳でこんなに良い仲間に出会えると思っていなかったので、この出会いは私にとって宝です。
授業で出される課題は一人ではこなせる内容ではなかったので、いつも同期の仲間から助けてもらいました。同期とは常に連絡を取り合って繋がっていましたね。
Q 看護領域の方がGSSMで学ぶメリットは
何だと思いますか?
A  医療や看護は専門性が強いので現場にいるとその専門を突き付けていくようになり視野が狭くなりがちですが、看護とは全く違う分野を学んだことで広い視野で物事を見る勉強が出来たことは本当に良かったと思います。
病院にいると外部と接することがまずありません。新しいところと接するなら自分から出ていかないといけない。きっかけは皆、様々だと思うんですけれど、そのきっかけを無駄にしないで欲しいと思いますね。看護大学の大学院に進んで掘り下げていくこともすばらしいことだと思うんですけど、もし何か違うことを学びたい、と思ったら選択肢のひとつとしてこういった学校もある、こういう大学院で学べる可能性があるということを、まず知って欲しいです。
Q 社会人学生として、研究する上での
困難はどんなことですか?
A  研究では、まず研究データをどうするかが重要だと思います。いくら研究計画を練ってもデータが無いことには分析はできません。私の場合は、看護師が対象なので調査をしてくださる病院を探すのが大変でした。結局は、以前一緒に働いていた医師や上司を頼りに探し出しました。また、病院での研究は倫理的配慮が厳しいため、調査対象病院の倫理審査に提出するための書類作成なども大変でしたね。
研究を進めていく上では、主指導教員との面談で何度もディスカッションをし、また、ゼミで自分の研究計画を発表することで、博士や先輩の方々から様々なアドバイスを頂けたので、自分の研究の方向性を導きだすことが出来ました。さらに、副指導教員が2名いてくださることで、多角的な視点からアドバイスを頂くことができ、研究を深めることができたと思います。
Q 勉強時間はどうやって捻出しましたか?
A  職場の同僚や上司にはGSSMに通っていることは知らせていたので、残業や土曜日の休みなど沢山の配慮をしてもらいました。その配慮がなければあの1年の週5日ある授業には出られなかったと思います。
 学校に通うことで、日常の無駄な時間というものがなくなりましたね。1年時の課題が沢山あった時期は、朝5時半に起床し、7時半には出勤して、仕事の準備をしてから始業の8時半まで、空いている部屋を見つけて本を読んだり課題をしたりしました。昼休みも短時間で軽く昼食を取って、あと土日を勉強する時間に充てました。

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Q GSSMを辞めたいと思ったことは?
A  大変だったけれど、辞めたい、と思ったことはありません。最初の一ヶ月は、無理だ、これで卒業できるのかな、と不安に思っていたんですが。同期が本当に良い人たちばかりでみんなに助けられました。GSSMでこの年に入って本当に良かったです。ちょっと余裕が出てきたら同期の仲間と一緒に山登りに行ったり、温泉に行ったり。授業が終わってから飲みに行ったり。
同じメンバーだったらもう一度、2年間の勉強をやりたい位です。違うメンバーだったら自信ないかな。苦しかったけれど、楽しかったです。勉強は本当に良いです。今までの看護の道と違うことを学ぶ機会を得られたのは、本当に貴重だったと思います。
本日は、長時間ありがとうございました。

 

(2017年2月取材)
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