※新組織改編前に作成した記事です

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松本吉史さん

  • 平成25年度修了(修士課程)
  • 大手システムインテグレーター

受験動機を教えてください。

きっかけは仕事でした。私は海外のソフトを日本に持ってきてソリューションとして展開するという業務を担当したことがあります。そのときに海外のエンジニアと接する機会があったのですが、向こうのエンジニアは専門である情報技術の面で優れているだけでなく、ビジネス面の知識も豊富でした。それ以来、エンジニアでもビジネス面での能力がないと、どんなに良いソフトやサービスであっても顧客に届けるのは難しいなと感じるようになり、スキルアップの選択肢として大学院への進学を考えるようになりました。GSSMを選んだ理由は、エンジニアとして自分の専門分野を深められ、さらにマーケティングなど専門以外の科目も学ぶことができるからです。また、エンジニアにとって業務経験は何よりも重要であると考えていたので、仕事を続けながら通学できる点も自分の希望にあっていました。

受験対策はされましたか。

研究計画書が重要だと知り、1ヶ月くらいかけてじっくり書きました。計画書のテーマには、実務での問題意識を取り上げました。日々の仕事をするなかで、業務担当者とシステム開発担当者の間に大きな溝があって、そのせいで顧客の課題に対して情報技術を上手く届けられていなのではないかと感じていました。その解決策のひとつとして、ドメイン特化言語というプログラミング言語に注目しました。通常のプログラミング言語との違いは業務領域を絞ることで、開発者だけでなく業務エキスパートでも読みやすいプログラムが作れるということです。GSSMのWebサイトで久野先生がプログラミング言語を専門とされていることを知っていましたので、最初から久野先生に指導してもらうことを意識して、研究計画書を書きました。私は修士の学位を取得しており論文を書いた経験があったので、先行研究も十分調査するなど、しっかり事前準備をしましたので、受験にも落ち着いて臨むことができました。

研究内容について教えてください。

修士論文として完成した研究テーマは、研究計画書と同じで、金融デリバティブ業務向けのドメイン特化言語についての研究です。デリバティブ業務は専門性が高く扱う商品も複雑であるため、業務担当者とシステム開発者のコミュニケーションが難しく、システムの品質や開発生産性に課題があるのですが、その改善を目的として、業務担当者でも直感的に理解できる専用のプログラミング言語を開発しました。プログラミング言語の研究では、その言語が良いのか悪いのか、評価するのが難しいのですが、私の場合は、開発した言語で記述したプログラムを読んで理解できるかについて専門家によるペーパーテストで評価しました。デリバティブは特殊な業務ですので評価していただく専門家を探すのに苦労しましたが、期待どおりの評価結果を得る事ができました。

入学後に気づいたこと、感じたことはありますか。

授業は、自分の能力に合わせて選択と集中することが重要だと感じました。特に1学期は面白そうな授業がたくさんあって、いろいろ受講したのですが、結局、中途半端になってしまった科目もありました。それ以降は、自分のペースも考えて本当に受けたいものに集中しました。私の場合は、「計算機科学」分野と「ファイナンス」分野を中心に受講しました。あとは「マーケティング」など他領域の科目をいくつか取りました。「マーケティング」は、ケーススタディなど、私の仕事や研究では用いない手法に触れることができて大変面白かったですね。

同級生との関係はどうでしたか。

同級生は職業も年齢もバラバラでしたが、一緒に課題に取り組んだり研究の悩みを共有するうちに自然と仲良くなりました。仕事ではバックグラウンドや年齢が違う人と仲良くなる機会はあまりありませんので、異業種の方々とのネットワークを構築できたことはとても貴重だと感じています。いまでも定期的に連絡を取り合い、情報交換などを行っています。また、私は3年かけて修了したため、入学時にいっしょだったほとんどの同級生といっしょに修了できませんでした。それでも私の最終審査に多くの同級生が見に来てくれて、それはとても嬉しかったですね。

修了まで3年かかった理由を教えてください。

修士2年のときに、自分が提案していた新規案件が受注になり、かなり仕事が忙しくなって。当時は週末も仕事している状況になりましたので、最初は悩みましたが、久野先生と相談して、まずは仕事を優先するという結論に達しました。仕事も研究も中途半端になるのが嫌だったので、修了が遅れてもいいから納得いくまでやろうと決めて、修士3年目の春に休学しました。もちろん、休学中も研究は続けていて、久野先生もメールなどで研究の相談に乗ってくれていました。仕事が落ち着いた11月に復学して3月に修了しました。3年かけたおかげで、ある程度満足いく研究ができて、以前取れなかった授業も受講できたので結果的には良かったと思っています。

仕事や家庭との両立についてはどうされていましたか。

妻が進学について理解してくれ、自由にやらせてくれたので助かりました。普段は勉強に集中していましたが、年に2回ほど二人で海外旅行などに出かけるなどして、メリハリをつけるようにしました。また、会社も上司には受験前から相談していたのですが、進学を快く受け入れてくれました。同僚もとても協力してくれました。私自身も学校を仕事ができない理由にしないように、仕事もしっかりやろうと決めてやっていました。授業が終わってから会社に戻って仕事を続けたこともありましたね。

思い出の授業はありますか。

どれも面白かったのですが、久野先生の「計算機科学基礎」が印象に残っています。基礎科目のためほぼ全員受講するのですが、ITに詳しくない人でも、計算機のなかで情報処理がどう行われているかをわかりやすく学習できます。ITが専門でない人にとっても、業務上の問題解決においてITの活用は必須だと思いますので、GSSMでしか受けられない良い授業だと思います。もちろん、Unixでコマンドを打ったりもするので、ITに慣れてない人にとっては、難しい点もあり、なかには挫折しそうになる人も出てくるのですが、そんなときには先生がマンツーマンで指導されていて、それが強く印象に残っています。

GSSMで得られたことや今後の予定を教えてください。

GSSMで学んだことで、問題解決能力の土台がしっかりできたと感じています。また、専門以外の知識の幅もひろがりました。ただそれをエンジニアとして実務で活用するためには、まだ課題があると感じています。吸収したものをエンジニアとしての価値にどう変換するかを考えないといけないと思っています。また、研究についてもやり残したこともありますので継続したいと思っていています。修士論文の内容は6月に学会発表の予定で、いま発表の準備で、引き続き、久野先生にお世話になっています。

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